乳酸菌生産物質とは、乳酸菌が作る代謝物の総称です。
「乳酸」「酢酸」「ビタミンB群」「アミノ酸」などを生産し、私たちのカラダの中から、健康を支えてくれています。

乳酸菌生産物質 PS-B1とは

乳酸菌生産物質

乳酸菌生産物質 PS-B1とは

長崎国際大学 薬学部薬学科教授:榊原 隆三 教授は研究の結果、ある乳酸菌生産物質に『がん細胞の増殖を抑制』『肝硬変の予防』『中性脂肪を減らす』と言った効果が見られることを発見し、その乳酸菌生産物質を”PS-B1“と名付けました。

教授の研究結果とともに詳しく紐解いていきましょう。

プロバイオティクス、プレバイオティクス、バイオジェニックス(乳酸菌生産物質)それぞれの効果と作用一覧表

榊原教授のこれまでの研究スタイルは、「菌」そのものよりも、どういう「物質」が、どのような疾患に効果的であるかを調べるもの。なぜ、菌ではなく、物質なのか?それは、今年12月のノーベル医学・生理学賞を受賞した大村智氏(北里大学 特別栄誉教授)の研究がそうであったように、物質というのは薬になる可能性があるから。

榊原教授は、「豊富な物質を有している乳酸菌生産物質(※ 以下 PS-B1と表記)は、人体にとって効果的であるに違いない」と、癌・肝障害・脂質代謝の3点に対しての効能をさぐるため、実験を開始されました。

榊原教授のこれまでの研究結果

癌細胞に対しての研究

がん細胞への実験では、培養した血液細胞系のがん細胞株に、PS-B1をかけてやると、がん細胞が潰れ、増殖を抑えるという反応が得られることがわかった。

PS-B1は血液細胞系のがん細胞だけでなく、他種のがん細胞にも同様の効果を示した。複数のがん細胞に抑制効果がみられるというのはめずらしい、常用すれば、これはがん全般の抑制に繫がるかも知れないと思った。

この実験により、『PS-B1のがん細胞への効果』として得られたのが、PS-B1は、がん細胞に対するアポトーシス(※1)を誘導するということ。つまり、カスパーゼ(※2)を活性化させ、がん細胞を死に至らせる。

起点になるのが、PS-B1の、正常細胞では活性酸素種を減らすが、がん細胞では増やし、ダメージを与えてくれるという作用。これは茶カテキンにも同様の作用がある。

がん細胞は、私たちの体内に日々できているが、増殖しなければ大きな問題にはならない。

細胞自体は、遺伝的要素・ストレスや、発がん性物質を外から摂ることによって癌化・増殖することが知られている。故に、初期の段階で細胞が癌化しないように駆逐、あるいはがんの転移阻害をおこなっていく必要があるが、抑制の為に抗がん剤を服用しつづけることは、自分のカラダがもたなくなってしまう。なので、細胞の癌化を抑制、あるいは再発防止する食品として、PS-B1が適していると考えた。

※1 アポトーシス;apoptosis
個体をより良い状態に保つために積極的に引き起こされる、管理・調節された細胞の自殺、すなわちプログラムされた細胞死。
※2 カスパーゼ;Caspase
カスパーゼは、タンパク質分解酵素であり、がん細胞に対して、アポトーシス(自死)を起こさせる役目を持つ。

マウスの実験で、カスパーゼ阻害剤を入れてカスパーゼ活性を抑えると、がん細胞は、どんどん増殖した。このことで、カスパーゼは、がん細胞のアポトーシスを誘導していることがわかった。
そこで、このカスパーゼを除去したマウスに、カスパーゼの代わりにPS-B1を入れてやるとがん細胞はアポトーシスを起こし、死滅した。

このことにより、PS-B1は、がんの抑制効果があることがわかった。

アルコール性肝障害に対しての研究

次に、肝障害への効果をみるために、BMI値25以上の成人男性(37~61歳)5名に協力してもらい、毎日4週間、就寝30分前にPS-B1(50ml)を飲んでもらった後、血液の臨床検査をした。

結果、被験者のALT、 ASTだけでなく、なかなか下げることが難しいと言われるγ-GTPの値にもそれぞれ減少がみられた。

アルコール性肝障害は、進行すると肝硬変を引き起こすことで知られている。これは、なってからでは遅いので、初期のうちに線維化を食い止め、肝硬変を予防することが非常に重要となってくる。

そもそも肝硬変というのは、肝細胞にダメージがあると、星細胞がコラーゲンを分泌し、炎症を食い止めようとする作用からなる。コラーゲンが排出されすぎて、そればかりになると肝臓がカチカチになってしまうわけだ。

私は、この肝硬変を抑える効果も、PS-B1にはあるのではないか?と考え、マウスをつかった実験を開始した。

マウスを『12週すべて通常のエサ』『5週目から3%のPS-B1を含んだエサを食べさせる』『12週すべて3%のPS-B1を含んだエサを食べさせる』の3パターンに分けて、12週間後、肝臓内のコラーゲン産生量を調べてみると、3%のPS-B1を含んだエサを食べさせていたマウスの肝臓内では コラーゲンの産生量が抑制されていたことが分かった。

以上の研究で、『PS-B1は、肝硬変の原因となる星細胞のコラーゲン分泌を抑制する』というデータも得ることが出来た。

脂質代謝への影響

続いて脂質代謝への影響を調べる為、PS-B1のヒト臨床検査をおこなってみたところ、コレステロール・HDLコレステロール・LDLコレステロール・中性脂肪、それぞれに有意といえるほどではないが、いい傾向がみられた。

中でも特筆すべきは中性脂肪を減らすという効果。「中性脂肪を減らしてくれる」という効能は、他ではあまり見られない効果だ。

ここで、非アルコール性脂肪性肝炎(NASH)に対する効果も調べるため、実験を専門施設に依頼した。

特定のエサを与えると必ず脂肪性肝炎になるマウス(STAMマウス)を『4週目から5週間特定のエサを与える』『4週目から5週間特定のエサに3%のPS-B1を含んだエサを与える』『4週目から5週間特定のエサに5%のPS-B1を含んだエサを与える』の3パターンに分けて、9週後に血液、肝臓を採取し、中性脂肪の量がどう変化したかを調べてみた。

PS-B1を摂取させていると、やはりヒト検査と同じく、中性脂肪が下がるという良いデータを得ることができた。

PS-B1のさらなる可能性

PS-B1は、がんの抑制効果があることは分かったが、PS-B1の中にある何らかの成分が、がん細胞を死滅させたと考えられる。

16種類もの善玉菌によって造られたPS-B1だが、菌体を混ぜることで、その相互作用により、多様な物質の集合体が出来るというメリットがある。

しかもそれらは未知物質の宝庫である。
たとえばビタミン、糖類、脂質、たんぱく質、ペプチド、アミノ酸、等々、まだ構造が分かっていない物質もある。その中の何らかの成分が、がん細胞を死滅させていると考えられる。

それらの物質は、自分の腸内フローラを刺激して、腸内環境を整え、腸内代謝を改善させることで、免疫を活性化させている。また、直接、免疫細胞に働きかけ、生体調節、生体防御、疾病予防・回復、老化抑制などの効果を発揮している。

乳酸菌生産物質のバイオフローラ研究所

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